他のコンクールデレガンスにも、いくつか参加したことがあります。ウチのお客さんにも声を掛けて参加していただき、私は当日にクルマを解説してお手伝いしたりしました。コンクールデレガンスは走らせるイベントではありませんが、クラシックカーならではの楽しみ方ができます。クラシックカーをアートピースのひとつとして愛でるコンクールデレガンスは、日本でももっと盛んになっても良いですね。楽しみの幅が広がり、世の中への認知も進むでしょう。
ミュージアムを開設してからは、ラフェスタ・ミレミリアに代表される公道レース、サーキットでの走行会やレース、そしてコンクールデレガンスなどに積極的に参加するようにしていきました。販売するだけでなく、楽しみ方も提案して、場合によっては一緒に参加したりしました。売りっ放しではなく、買っていただいた後の楽しみ方を案内できるかどうかは、とても大切なことだと考えるようになり、その想いは今でも変わりません。変わらないどころか、どんどん深くなっています。
オークションも、クラシックカーならではのイベントです。近年のクラシックカー相場の高騰ぶりにオークションの果たしている役割が大きいことは間違いありません。オークションの開催を、「○○が史上最高の●億円で落札!」などとニュースで報じられることも増えました。それによって、一般のクラシックカーへの認知が高まってくれる良いキッカケになっていると思います。しかし、われわれ愛好家や業者にとって最近の過熱ぶりが必ずしも歓迎できるとは言えないのもまた事実なのです。それは過熱ぶりがもたらす価格の高騰です。値上がりは悪いことではないのですが、値上がり目的だけの投資家が増えてしまう心配です。価格の高低だけでクルマを判断してしまう人が増えてしまうと、マーケットが荒れます。高騰によって愛好家が買えなくなってしまい、投資家は転売のためにガレージに仕舞い込んでしまう残念な例を今まで何台も知っています。
クラシックカーは人類全体のものであり、オーナーは一時預かり人に過ぎないという認識を持ってくれている投資家もいますが、そうではない人もいるのです。そうした人々が、オークションによってクルマを売買しています。オークション会社はクルマの価格が競り合って上がった分、自分たちが受け取る口銭が増えますから、煽ることはあっても、諫めることはありません。オークションによってクラシックカーの世界がより一層と秩序を以て活性化することを私は望んでいます。
クラシックカーは手に入れるまでにアレコレと考えるのも楽しいですが、お楽しみは手に入れてから大きく広がっていきます。ただ磨いて、たまに走らせるだけでなく、さまざまなイベントに参加することで仲間もでき、喜びを共有することができるでしょう。情報をやり取りし、経験と知識も増えていきます。クラシックカーの楽しみは、人生をより豊かにしてくれるものだと私は信じています。ワクイミュージアムでは、そのためのお手伝いをさせていただいています。