ロールスロイス&ベントレーの歴史

Pre War:第二次大戦前篇

序章「ダービーとクリクルウッドに生まれし二つの巨星」

ロールスロイス&ベントレーの歴史, 第二次大戦前篇
ロールスロイス&ベントレーの歴史

「正しく為されしもの、ささやかなれどもすべて尊し(Qvidvis recte factvm qvamvis hvmile praeclarvm)」そして「その価格は忘れ去られても、品質は残る(The quality will remain when the price is forgotten.)」。これらは、いずれもロールス・ロイスの開祖F.H.ロイスが語ったとされる、同社の企業哲学を示したあまりにも有名な言葉である。

一方ベントレーの開祖、W.O.ベントレーはこれほど有名な言葉こそ残してはいないが、その代わりにスポーツカーレースの世界最高峰、ル・マン24時間耐久レースに於いて5回もの総合優勝を果たすという、輝かしいレーシングヒストリーを残している。つまり、ロールス・ロイスが「究極の高級車」ならば、一方のベントレーは「至高のスポーツカー」だったのだ。1931年の合併を契機に、実に67年間もの長きにわたって無二のパートナーであり続けたことから、しばしば“ペア”として語られてきたこの二つの超名門ブランドだが、そのあり方や根底に脈打つフィロソフィーはまったく別のもの。しかし、それぞれの方法論で最高の自動車を求めていたのも事実なのである。

この本の第二次世界大戦前篇では、ロールス・ロイスおよびベントレーの創成期のモデルについてお話ししたい。特にロールス・ロイスについては、これまでにも数多くの日本語の文献が編まれてきたのだが、対するベントレーについて言えば、第二次世界大戦前のヒストリーを記した記録は必ずしも豊富とは言えないのが現状だろう。そこで本篇では、ロールス・ロイスがベントレーを吸収する1931年に至るまで、両社がいかなる経緯で誕生し、いかなるかたちで発展してきたか。そして、パートナーとなった1930年代にいかなるストーリーを刻んできたかについて、詳しく解説させていただくこととしたい。

(序章 了)

(監修:涌井 清春  資料提供:高山 ゆたか  編集:武田 公実)

 

 

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