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2002 Rolls-Royce Silver Seraph Park Ward
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2002 Rolls-Royce Silver Seraph Park Ward Information
年式: 2002年 付加情報 要約:シルバースピリット/シルバースパーに代わるべく、1998年に登場したモデルがシルバーセラフ。丸みを帯びたスタイルから、先代のボディより小さく見えるが、実際のサイズは一回り大きい。エンジンは長く使われてきた自製のV8を諦め、新たにBMW製のV12が採用された。ATもそれに伴ってZF製の5段となる。パークウォード・モデルは2000年になって追加されたロングホイールベース版。2003年以降、ロールス・ロイスの生産権がBMWに移ることから、セラフはクルー工場で作られた最後のロールス・ロイスとなった。また総生産台数も、ロールス・ロイスとしては短期間で生産終了となったことから、他のモデルに比べてごく少ない。ベントレー・アルナージとはボディを共用する。 ロールス・ロイスは初期にゴーストの名を冠して以来、ファントム、シャドー、スピリットなど、この世ならぬ存在のものの名前を付けることを定例としてきた。このセラフもその流儀に従ったものだが、キリスト教国ならば説明がなくとも通じる名前に思える。ここでは簡単に、背中に翼をもった天使のひとつ、という説明にとどめておくことにする。 このセラフはいくつかの点でロールス・ロイスが伝統的に受け継いできたやりかたから離脱したモデルとなった。その大きなもののひとつは、モデルチェンジに際してはまずボディを新しくして、何年か後にエンジンを新設計のものにする、という穏やかな切り替え方をとらなかったことだ。すなわち、エンジン/トランスミッションとボディとを、同時に刷新したのである。 まずボディの方から解説していこう。セラフのボディはスピリット/スパーとはチーフデザイナーが代わって、グレアム・ハルが担当した。彼は1971年の入社だから、このセラフのデザインの時にはすでに20年程の年月をロールス・ロイスと共に過ごしていたことになる。そして1990年に前任のフリッツ・フェラーからチーフデザイナーの座を受け継いで、シルバーセラフのデザインを始めた。もっともその頃はまだセラフの名前はなく、P3000というプロジェクト名で呼ばれていた。彼はセラフのスタイルをスピリット/スパーのエッジを効かせたものから、再びシルバークラウドの時代を思わせるような丸みを帯びたものへと回帰させている。スタイルの印象からは、セラフは先代よりも小さな車であるように感じられるが、実際には全長、全幅、全高の全てで一回り大きい。 構造上の変化はこれまでアルミを用いていたドア、ボンネット、トランクリッドがスチール製となったことだ。すなわち、ボディは全てスチール製となったのである。それにもかかわらず、重量は軽くなっている。これはCADを用いたボディ構造設計の効率化(1枚のパネルを大きくとるなど)の成果であるという。また、ボディのねじり剛性も65%向上している。このセラフ以前のモデルでは、ボディパネルは全て外注で作られていたが、このモデルからは一部がクルー工場内で製作されるようになった。 ふたつ目の大きな変化はエンジン/トランスミッションである。ロールス・ロイスでは長く(始まりはシルバー・クラウドII)自社製の総軽合金製V型8気筒を用いてきた。その自製V8はその静粛性、スムーズなこと、そして低速トルクの力強さなどから、顧客たちから高い支持を得ていた。しかし、登場以来30年を経過して、次第に環境問題などが厳しさを増していくことが考えられたことから、いよいよこれに代わるエンジンが必要とされたのである。いくつかの選択肢の中からロールス・ロイスが選んだのは、BMW製のエンジンであった。それもロールス・ロイス用にはV型12気筒を、ベントレー用にはツインターボのV8を、という使い分けである。 シルバーセラフ用のV12は総軽合金製、Vバンク角60度のSOHCで、総排気量は5390cc。ロールス・ロイスが他社のパワーユニットを用いるというのも初めてのことだが、これにはもうひとつの “初めて” のことが伴っていた。これまでのロールス・ロイスはエンジンの性能数値を発表せず、問い合わせに対しては「充分なだけ」と答えるのが恒例になっていた。今回はBMW製エンジンということから、その数値が明確に表に出されたのである。それによると最高出力は326PS/5000rpm、最大トルクは50.2mkg/3900rpmであるという。ただ、最高出力も最大トルクも、これまでの自製V8に比べれば回転数の高いところで発揮されるので、過去のモデルのようにごく低回転で、それでも充分な低速トルクを生かして粛々と走る、という特徴からはやや性格を変えたと言うことができる。そのかわりに高回転までスムーズに回ることや静粛性などに関しては、一気に最先端の性能を持つことになった。 BMWエンジンの採用に伴って、自動変速機もZF製の5段へと切り替えられた。性能は大柄で重量の大きなボディであることを考えればめざましいもので、0-100キロ/時の加速は7.0秒、最高速は時速225キロ(標準のホイールベース・モデルの場合)であるという。ATのセレクトレバーはロールス・ロイスの伝統に従って、ステアリングコラムに設置されている。 インテリアはこれまでのロールス・ロイスの流儀に従った、高級で落ち着いたものである。シートを始めとして内装にはコノリーのレザーが用いられ、随所にウッドパネルが配されている。このシルバーセラフではステアリングのスポークにまでウッドパネルが加えられた。英国人は石積みの家であっても、内装が木に囲まれた部屋にいる時に、落ち着きを感じるのである。 ボディサイズがひとまわり大きくなったことから、インテリア・スペースとトランクの荷物スペースはこれまでのロールス・ロイスの各モデルの中では最大になっている(ファンタムを除く)。そこから、1998年のデビュー当時はホイールベースは1種類のみで、ロングホイールベース仕様は用意されていなかった。それが追加されたのは2000年になってからで、このLHB版はパークウォードという車名で呼ばれる。ホイールベースを標準車に比べて10インチ(約250センチ)延ばしたことから、もともと充分なスペースのあった後席足元に広大な余裕がもたらされている。リアのドアも延ばされているが、スタイルは良くまとまっていて、開発の当初から二種のホイールベースを考えた造形が行われていたと思って間違いあるまい。 このシルバーセラフはロールス・ロイスの新しい時代を作っていくはずであったのだが、2003年からロールス・ロイスはBMWが、ベントレーはそれまでと同じくVW/アウディ・グループが生産を行うことになって、2002年いっぱいで生産を終了した。BMWは新たにグッドウッドに新工場を建設、職工たちを様々な分野から集めるところから新生ロールス・ロイスの生産をスタートさせた。従ってシルバーセラフは1946年以来クルー工場で作られていたロールス・ロイスの最後のモデルということになる。生産台数が標準ホイールベース・モデルで1400台弱、ロングホイールベース版は130台近くと、ロールス・ロイスの水準でも少数にとどまっているのは、生産期間の短さに由来するのである。 |
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