1991 Rolls-Royce Silver Spirit II

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1991 Rolls-Royce Silver Spirit II   Information

 年式1991
 メーカー Rolls-Royce
 モデル Silver Spirit II
 ボディータイプ Four Door Saloon
 ボディーカラー Gray
 内装 Black Leather
 付加情報 
 

ロールス・ロイス・シルバースピリットは1980年のパリ・サロンで発表された。それ以前の15年近くにわたって生産が続けられたシルバーシャドーの後継車としての登場である。シルバーシャドーは生産台数の合計が、それまでのロールス・ロイスでは考えることもできなかった3万という数字を超えるほどの成功作であったから、その後継車、シルバースピリットにかけられた期待も大きなものがあった。

ただ、この頃までのロールス・ロイスは急激な変化は避ける傾向にあった。従ってV8エンジンやサスペンションなどは小変更にとどめ、ボディを新しい時代に合わせてデザインすることにモデルチェンジの主眼を置いた。ボディスタイルの指揮をとったのは、オーストリア生まれのフリッツ・フェラーというエンジニアである。ロールス・ロイスのデザイン・オフィスでの彼は、ドイツ語圏の生まれを感じさせず、英国人そのもののようだとスタッフからは思われていたという。同様に本来はエンジニアであったのだが、造型にも存分にその才を発揮した。

彼が生み出したシルバースピリットはエッジの効いたデザインで、シルバーシャドーがボディ各部の角を柔らかな丸みでまとめていたのに比べると、はっきりと新しい時代を感じさせるものであった。しかし、ロールス・ロイスの場合、新しさを採り入れることは、最新のトレンドを追うこととは違っていた。いや、違っていなければならなかった。流行はほどなく古くなる宿命を負っている。ロールス・ロイスはひとつのモデルを15年、あるいはそれ以上の長期にわたって生産するので、途中でスタイルに古さを感じさせてはいけないのである。フリッツ・フェラーのデザインした4ドア・サルーン、シルバースピリットは、新しさの中に時代の変化に耐え抜く強さを持っていた。と同時に、落ち着きと最高級車としての品位のようなものを感じさせるものであった。

このボディスタイルをまとめるにあたっては、イタリア・トリノのカロッツェリア、ピニンファリーナの監修があったことが、非公式に言われている。ロールス・ロイスとピニンファリーナは少なくとも1960年代からつながりを持っていて、1968年にはベントレー・クーペをピニンファリーナがデザインしてショーに出品しているし、最高級クーペとして少量が生産されたカマルグのスタイルを造形したのもピニンファリーナであった。こうしたクルー(ロールス・ロイスの工場の所在地)とトリノの良好な関係から、シルバースピリットのボディスタイルにも、監修という形で何がしかのピニンファリーナの関与があったと考えるのは、理由のないことではない。

シルバースピリットがその生産の末期になってもスタイルに古さを感じさせなかったのも、そのことを証明しているように思われる。ピニンファリーナのデザインが持つ特性のひとつは、時代を通じて生きるクラシカルな美しさにこそある、と言われているからである。そしてもうひとつは、シルバースピリットがロールス・ロイスとしては初めて丸型をやめて、矩形のヘッドランプを採用したことである。先にカマルグをデザインした時、ピニンファリーナのチーフであったパオロ・マルタンは直線的なボディスタイルに合わせて矩形ランプを採用したかったようで、イメージスケッチには長方形のランプが描かれている。そのアイディアがこのシルバースピリットで結実したのではなかったか。そしてそのヘッドランプのデザインは、パルテノン型のラジエターとよく合って、シルバースピリットのフロントスタイルを引き締めているのである。

ボディサイズはシルバーシャドーに比べてひとまわり長く、幅広くなった。シルバーシャドーが計画されていた時には、販売の主力が英国内にあったことが考慮されたという。その頃にはロールス・ロイスのオーナーの中にも自らステアリングを握る人の割合が増えつつあった。そうした層の人々にもヨーロッパ大陸や北米に比べて狭い英国の道路でも運転しやすいよう、シルバーシャドーは先代のシルバークラウドに比べて若干小さめに作られていたのである。

シルバースピリットは大柄なボディへと戻った。そして最高級車といわれるようなサルーンにとって、大きいことは大切な要素なのである。たとえばアスコットの競馬に出かけるとしよう。そこでは厳しいドレスコードが敷かれているから、男性はシルクハット、女性は傘ほどもある幅広の帽子をかぶらなければならない。その正装のまま車に乗るには、しかるべきサイズが必要というものだ。そしてシルバーシャドーの時代にはあまり例のなかったリムジン・ボディが、シルバースピリットではかなりの数製作されたことも、大きくなったボディサイズと高級車にふさわしい品位のあるスタイルがその背景にある。

ボディは一新されたけれども、エンジンやサスペンションなどはシルバーシャドーのものをほぼそのまま受け継いでいる。たとえてみれば充分に熟成の終った酒を新しい革袋にいれた、というところだろうか。ロールス・ロイス自製の軽合金製V8は6.75リッターの排気量を持ち、低速トルクに富んだものである。サスペンションは4輪独立懸架で、シルバーシャドーと基本的に同じハイドロニューマティック・セルフレベルシステムが組み合わされている。ブレーキは4輪ともベンチレーテッド・ディスクになった。

1989年のフランクフルト・ショーにはサスペンションなどに新機軸を加えたマイナーチェンジが発表され、第二世代に移行した。これ以降、標準のホイールベースを持つものはシルバースピリットII、ロングホイールベース版はシルバースパーIIと呼ばれるようになる。V8エンジンはボッシュMKモトロニック燃料噴射が組み合わされた。出力やトルクも変わっているはずだが、この時代はまだロールス・ロイスの伝統に従って「充分なだけ」としか発表されていない。これに組み合わされるATがGM製のTHM3段から、同じGM製で新しい4L80E4段に切り替えられるのは、1991年の冬になってからのことである。

このシルバースピリット/スパーが現役だった20世紀最後の20年程は、自動車の世界に電子化が急速に普及した時代でもあった。新しい技術の採用にはいつの時代も慎重なロールス・ロイスでも、燃料噴射、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、ダンバーの電子制御などを、ひとつひとつとり入れていかなければいかなくなる。そして登場以来長い期間にわたって使われ続けてきたV8エンジンにも、そろそろ退役の気配が迫って来ていた。そこから1992年には新型エンジン開発のために、BMWとの提携が行われた。そこから1998年に発表されたロールス・ロイス・シルバーセラフはBMWのV型12気筒を積んで、ベントレーのほうはやはりBMW製のV8ツインターボで登場した。そのいきさつとロールス・ロイス自製のV8の復活については、それぞれの車種で語ることにしよう。


 

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