1960 Bristol 406 Coupe

1960 Bristol 406 Coupe

Sales Price ASK(応談)

Zoom Image画像をクリックして拡大写真をご覧ください
 
  • 1960 Bristol 406 Coupe
  • 1960 Bristol 406 Coupe
  • 1960 Bristol 406 Coupe
  • 1960 Bristol 406 Coupe
  • 1960 Bristol 406 Coupe
  • 1960 Bristol 406 Coupe
  • 1960 Bristol 406 Coupe
  • 1960 Bristol 406 Coupe
  • 1960 Bristol 406 Coupe
  • 1960 Bristol 406 Coupe
  • 1960 Bristol 406 Coupe
  •  

  •  

  •  

  •  

1960 Bristol 406 Coupe  Information

 年式 1960
 メーカー Bristol
 モデル 406
 ボディータイプ Two Door Coupe
 コーチビルダー
 ボディーカラー Gray Metallic
 内装 Red
    
 付加情報

このほどワク井ミュージアム・ヘリテージに、一台の超レアな英国製ツーリングカーが入庫することになりました。イギリス以外ではほとんど見ることのない「ブリストル」。日本ではおそらく唯一の生息車両と推測されている「406」です。

ただしこの個体は、2014年に67歳の若さで逝去された自動車評論家、故・川上完さんの愛車として、これまで国内の自動車メディアにも数多く登場した有名なブリストル406。熱心なファンたちに愛されてきた「完さん」が自ら輸入して大切に乗るとともに、国内各地のイベントにも出品していた一台です。

この車両の特別なヒストリーに敬意を表して、今回は生前の川上完さんとも親交のあった自動車史家、三重宗久さんが特別に解説してくださることになりました。

是非とも加須・ワク井ミュージアム・ファクトリーにて「完さんのブリストル」をご覧いただきたいと存じます。

    
 三重宗久さん特別寄稿「ブリストルについて」
    
   

川上完さんがブリストル406に乗っていたのは、「航空機メーカーが製造した自動車」というテーマに沿ったものでした。彼は他にも三菱ジープ、スバル360、サーブ96などを所有していましたが、それらはすべて「航空機メーカーの自動車」だったのです。

確かに英国のブリストルはブレニムとかボーファイターなどの航空機を生産したメーカーであったのですが、第二次世界大戦終結後に自動車製造に乗り出しています。ですから川上さんが着目したように、「航空機メーカーの自動車」という一面を持っています。

しかし、ブリストルという車はそれだけで語りきれるものではありません。その性格を一口で言うなら、貴族階級やアーティストたちに支持される名品、というところでしょうか。ブリストルは高級なスポーティングカーですが、同じカテゴリーに属する英国車のアストン・マーティンやベントレーほどは、世の中に名前が通ってはいません。

ことに英国外ではそうした傾向が強く、めったにその姿を見ることはありません。ブリストル社とその自動車は、ほとんど英国内だけの世界で生きてきたような印象を受けます。

それでは英国でのブリストルはどのような存在なのでしょうか。それはちょうどロンドン市内に落ち着いたたたずまいを見せている老舗の店と、そこが生み出す名品との関係と同じだということができます。そうした店は世界に店を広げて顧客の数を増やそうなどとは考えていないでしょうし、仕事の規模を大きくすることも想定外でしょう。それと同じように、ブリストルも他の自動車会社とは違って、広告と言っては参加したラリーやレースの結果を知らせるくらいのものでしたし、販売網にしても、ロンドン市内のケンジントン・ハイストリートにショールームを置いているだけでした。

老舗の紳士服の店では、訪れた人が名前も告げることなく、ましてや製品の値段などを尋ねることもなく、「これを届けてください」とだけ言って帰っていくものだそうです。

店の方では、それがどこのどういう方かを心得ていて、後日指定の品物を広大な領地のあるお城のようなお屋敷にお届けするわけです。

そうした名品というのは、本物の魅力を知る少数の人達によって作られ、そして支えられているのです。ブリストルの自動車もまさにこの名品の世界といえるでしょう。

自動車会社としての規模を拡大することを考えず、その魅力を知る少数の人達との世界を大切に守っているのです。

その顧客の中には爵位を持つような人々や、アーティストたちが多いのもひとつの特徴です。そうしたブリストルの顧客たちの間に貫かれているのは、目立つことを嫌い、落ち着いた上品さを求めることです。同時にそうした人々が望むのは、すべてにおいて良質で、長く使いこめるものでなければならない、という価値観でしょう。これはイタリアの自動車でいえば、1960年代から70年代初め頃までのマセラティに通じるものがあります。

その頃のマセラティというのは、他のスーパースポーツのような目を引くスタイルではありませんでしたし、音もよく抑えられ、操縦に必要な力も洗練されていて、街の中でも上品なたたずまいで過すことができました。ブリストルも多くの点で同じ特色を備えています。静かに、しかし良質の生活を維持したいという人には最適の車なのです。そしてこれが高貴な人々や芸術や音楽活動に関わる人達に好まれる理由なのです。

それではブリストルはただ静かな高級車なのでしょうか。そうではありません。ブリストルの中には、コンペティションへの挑戦というスポーツ精神が込められているのです。

ブリストルはその創業早々からアルパイン・ラリーやヨーロッパ大陸でのレースに盛んに打って出ました。そこで証明されたのが、完走率の高さ、すなわち信頼性の高さでした。

中でも1953年から55年にかけての3年間、ルマン24時間レースへ挑戦したことは、大きな成果をもたらしました。もちろん、戦後に自動車の生産に乗り出したブリストルには、レースに対する備えも、それにすぐに使用できるようなモデルもありませんでした。

そこで彼らはERAからシングルシート・レーシングカーを譲り受け、それにブリストル製の6気筒エンジンをのせました。そして航空機部門の風洞を使用して空力実験を行い、その結果を独自のスタイルの空力的ボディに生かしてルマン用のレース車を仕上げたのです。

ルマン24時間レース挑戦は、その最初の年こそリタイアという苦渋をなめたのですが、翌54年と翌々55年のレースでは、参加させた3台がいずれも完走しただけではなく、2リッター・クラスの1位から3位を独占、総合成績でも7位、8位、9位に入るという大きな成功をおさめたのです。

この信頼性の高さは、ブリストルの出発点であるBMWの優れた設計によるものですが、エンジンの機械加工などの際に航空機と同じ基準(一般的な自動車とは一桁違う精密仕上げでした)を用いたことも効果があったようです。そうしたことと、BMWの直列6気筒エンジンは戦前の設計であったにもかかわらず、戦後の改良と高性能化によく応えるすぐれた素質を持っていましたから、やがて2リッター・クラスのレース用エンジンとして数多く用いられました。

たとえばクーパーはブリストル・エンジンを搭載したクーパー・ブリストルを製作したのですが、そのマシンは2リッター・クラスで無敵の存在となりました。そしてマイク・ホーソーンという若いドライバーに活躍のチャンスを与え、やがてF1GPに進出するきっかけとなるのです。

また、レーシングモデルのシャシー・ビルダーであったジョン・トジェイロも、ブリストル6気筒を積んだマシンを製作しています。そのトジェイロはブライアン・リスターに買い取られ、改良を加えた後にリスターの名でレースに参加して、レーシングカー・コンストラクターの代表的存在にまでなるのです。

同じトジェイロ・ブリストルをベースとして、市販スポーツカーを製作したのがACでした。ACブリストルはその性能とスタイルの美しさから、少なからぬ成功をおさめました。後にはそのエンジンルームにアメリカ製の大排気量V8を収めたモデルに発展。その究極が、シェルビー・アメリカンが送り出したACコブラ427ということになります。

もう1種、アメリカで販売されたアーノルト・ブリストルにも、ブリストル製の直列6気筒エンジンが用いられています。これはブリストルがアメリカのオートショーに出品した際に、その車を気に入ったワッキー・アーノルトが独自のモデルを生産することを考えたのです。

すなわちブリストルのエンジンやシャシーを利用して、ボディはイタリアのベルトーネにデザインと生産を依頼、それをアメリカ市場で販売しよう、というものでした。その頃のベルトーネの主任スタイリストはフランコ・スカリオーネでしたから、ふくよかな丸みを持った魅力的なオープン2シーター・スポーツが生み出されたのでした。

本家のブリストルの方は少しずつ改良を加えながら、少数生産を続けました。

その中には405という4ドア・モデルも含まれますが、大勢を占めているのは2ドア・クーペです。そして1961年の407からは、エンジンがアメリカ・クライスラー製のV8に切り替えられます。

元川上さんの406は、BMWから発展した直列6気筒エンジンを搭載する最終モデルなのです。


contact


PAGE TOP


 

Go page top